自営線とは
再生可能エネルギーの発電所から、電力会社へつなぐ送電線です。事業主自ら建設・配線し、運用します。
自営線のメリット
大手電力会社に設備建設・保守を依頼する電線に比べ、工期が短く、コストダウンできる可能性がある。
施工方法
地下埋没による「地中線」と、鉄塔に電線を引く「架空送電」があります。どちらもメリット、デメリットが存在します。
建設条件は様々
建設立地、気候条件、発電・送電規模等、自営線の建設条件は様々あります。また、建設時のみではなく、その後のメンテナンスや、台風・落雷等の損傷による緊急対応など、架空送電設備に関する工事は難易度が高いです。
架空送電設備を設置するまでの流れ
架空送電線に関する工事は難易度が高く、工程も長くて複雑です。その一例を紹介します。
仮設工事
傾斜地では作業効率性・安全性等を考慮して、作業用構台を設置する。
標高差がある建設現場で、運搬路が造成できない場合には、索道・モノレール・ヘリコプターなどにより運搬路を確保する。
基礎工事
基礎孔の掘削→脚材の据付・配筋→コンクリート打設→埋め戻し
鉄塔組立工事
構築した基礎の上部に鉄塔を組み立てる。建設位置まで自動車が入れる場所では、移動式クレーン、入れない場所ではクライミングクレーンを活用する場合もある。
架線工事
まずエンジン場・ドラム場を構築し、その後に電線を架線し、付属品を取り付ける。次にナイロンロープを延線、ナイロンロープでワイヤを、ワイヤで電線を引き、電線を延線する。その後、電線を鉄塔に引き留め、付属品をつける。
このように、架空送電設備を設置するためには、専門分野の異なる複数の工事が必要になります。
架空送電設備に関する工事の課題
工事の依頼にあたってのよくある課題です。
依頼に知識が求められる
どんな事業者に、どのタイミングで、どんな相談をするべきか分からないことが多いです。
業者選定が難しい
各分野の専門事業者を選定するにあたり、何を基準に判断すればいいのかわからない場合があります。
調整が難しい
工事は専門知識が求められるので、事業者の提案に対して、対案を提示できないことが多く、調整が難しいです。
依頼者目線の設計にならない
各事業者は、自社商品をベースに提案を行うことが多いため、俯瞰した視点から依頼者にとって、総合的ベストな計画を立てることは容易ではありません。
相談に手間がかかる
各事業者それぞれに、個別に相談を進める必要があり、莫大な管理コストや手間がかかります。
技術者の高齢化
架空送電線工事は専門性・難易度が高い工事です。地域によっては若手の育成が不十分で、希望する工事に対応できる事業者が見つけられないことがあります。